新年特別企画 京都展 Art of Kyoto 現代京焼・清水焼 『伝統と進化の交叉点』
2008年度を迎え、NY Cooギャラリーでは、新年特別展『伝統と進化の交叉点』を開催致します。京都の作家による屏風・表具及び能面をフィーチャーした昨年の『新年特別企画:京都彩り展―伝統華麗色変化』同様、本展覧会でも、京都の伝統工芸 ― 高い意匠力と多彩な技術に基づいた華麗さと雅やかさで知られる京焼・清水焼 ― に焦点を当てました。
陶磁器の中でも、「和」の感性と洗練されたデザイン性の調和が特徴の清水焼。本展覧会フィーチャード・アーティストである谷口ちさとは、そんな伝統の世界で、ロクロ回しから絵付け、釉薬塗り、焼きまで、“自分色”を追求する、新進気鋭の陶芸家。女性ならではの柔らかさ、瑞々しさを感じるデザイン、強靭さと微妙な繊細さを併せ持つ作品からは、手造りの温もりが伝わってきます。筆描き、染付以外の技術開拓にも熱心で、近年は掻き落としの作品も増えていますが、植物や自然の曲線美をモチーフに、版画のような雰囲気を生かすことで、独特の世界を創り出しています。最近訪れたイタリアで受けた影響を反映させた新作も含め、伝統技術と現代的センスを融合させた谷口ちさとの作品には、京焼・清水焼の新しく、そして限りない可能性を垣間見ることが出来ます。
京都北部の山里に、薪焼成の穴窯を備えた1000坪の工房に暮らし、お茶、小麦、そばの栽培や藍染めで自給自足を満喫する嵯峨根辰夫。その作品は、厳密には京焼・清水焼ではありませんが、土の香りが漂う素朴な色合い、伝統とモダンが共存する優れたデザイン性には、京都の名に相応しい美意識が生きています。
他にも、京焼・清水焼を現代に伝える作家の作品を展示、洗練された伝統美と現代アートの交叉を、お楽しみいただければ幸いです。1月26日まで開催。
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