Japanese Illustrators Exhibition In New York
"クリ8 TOKYO 11"
『クリ8 Tokyo 11:Japanese Illustrators' Exhibition in New York』と題名されたグループ展がNYCoo画廊で開催される。このグループ展は日本でのイラストレイター310人を擁するエージェントサイト「クリ8」の企画展であり、当画廊での第二回目開催である。出品作家11人は「クリ8」所属、'06年9月の前回のメンバーと全て変わり、揃ってニューヨークでの初発表となる。従って出品作家全ての作品に寄せる思いは大きく、来廊者の反応に何かを得、それを以後の制作の指針にすると期待を大きくしている。この充実し、見応えある「クリ8 Tokyo 11」展を紹介し、御来廊を強く薦めます。
「今」の日本社会を象徴するポップカルチャーは世界の目をそこに向けさせた。アメリカの美学生達は彼等の絵に、デザインにこのポップカルチャーのスタイルを引用し、さらに影響されている。これこそ視覚文化社会の最前線なのだと云う。この11人は正にその発祥の真只中からの出品なのである。そして、常時のクライアントを抜きにした、制約の枠なしの自己の表現に徹した作品をニューヨークに展示する。期待と緊張感を観る者に持たせる。
上述した事を逆説的に云うと、「制約」は常に制作の基準になり助けになり得る、制約の全てを取り除いたところで自由に表現するとは何か、日本のポップカルチャーの語彙、美的基準の中で、はたして、自己表現は可能なのか、と云う疑問に突き当たる。その課題は大きい。11人の作家はこのグル−プ展に寄せて、制作と出品の抱負を単文にしている。そこに何かを見出せるかもしれない。その中に出て来る言葉を列挙してみよう。括弧内は回数。観る人に:笑顔を(2)、リラックスした気持ちを(1)、何かが残る(2)、を楽します(1)、バイタリティーとインパクトを(2)、人種的問題を超えるグロバリズム(1)、などであるが、異色は:普段通りの作品を(1)、だった。
それでは、何故ニューヨーク?には:海外の見方を知る(3)、ア−トの本場(2)、色々吸収し帰国後の作品の変化に期待(2)、今後の企画に(1)、国際的ビジネスにつなげる(1)、現地の人々との交流(1)、自分を試す(1)、「勢い」を信じる(1)、などだった。これらの圧縮された言葉の下に在る11人の共通分母であるその感情はこのグル−プ展を契機に「勢いに乗ること」で自己の発展と作品の向上への飛躍を目指すことだと受けとめた。
ここに、再度、皆さんの御来廊を促す次第です。
ギャラリーライター:中里斉
|