11月の展覧会

『JAPANESE ILLUSTRATORS IN NY-クリ8-vol.3』

2006年11月1日(水)〜25日(土)

レセプション:11月3日(金)  午後5−7時30分

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開画廊時間

火〜土 12:00-6:00PM (閉館日 日曜日・月曜日)

JAPANESE ILLUSTRATORS IN NY クリ8-vol.3

NYCooギャラリーは11月「Japanese Illustrators in NYクリ8―vol.3」と題名される10名からなる若い日本のイラストレーターの作品展を開催します。日本を代表すると気構えのエネルギーに満ちたグループ展ですので、御来廊下さるよう御案内致します。

「Japanese Illustrators in NY クリ8―vol.3」は東京青山のデザインエージェント「クリ8」が企画し、NYCooギャラリーに於ける第三回展になる。クリ8は「ステレオタイプでない、こんな今の日本を現わす作家10名の作品を観て頂きたい」と自負する。主催するNYCooギャラリーは「このグループ展開催の意図を日本の若者の今的思考の一端を見せたい、そしてイラストレーションに溢れる日本を知って貰いたい」にあると云う。「現代の若者は商業的に絵の版権を売る事で生計を立て、社会の最先端を意識しながらカッコ良い職業としてイラストレターを選ぶ」又「日本では本屋の店頭はファション誌を初めイラストの洪水、電車の中の広告、新聞折り込み広告、街頭で手渡されるパンフレット、更にテレビにとイラストが溢れている。それに反してニューヨークはイラストの無い社会」と云う。

出品作家は大内裕子、くぼたたま、SUMIKO、緑(YUKA)、Yukiss、たかぎ さちこ、DINO、岩井里菜(いわいりな)、七字由布(しひちじゆう)、オビカカズミの10名、いずれもニューヨークでの作品発表は初めてだ。だが、福岡在住の「DINO」はニューヨークをテーマに制作を続け、東京の「緑」はヨーロッパの風景と人物をテーマにし、「イラスト・ジャパン」の巾を見せる。Made in Fukuokaのニューヨーク・イメージ、日本のヨーロッパ趣向がニューヨークでどう観れるか興味深い。
出品作家のウエッブサイトを尋ねて作品を見、そこに書かれたステートメントを読み、幾層かの考えが浮ぶ。

「クライアントのニーズに合わせてオリジナリティを発揮したい。誠実、正確、迅速にをモットーにし。これもサービス業。」と云う大阪在住の「Yukiss」の作品「Color of Osaka」は強い色彩、折衷的イメージ、構図の複雑さとディテールへのこだわりでステートメントとは全く正反対で驚かす。大阪的なのだろう。「懐かしさや人の心情を呼び起こすような絵を描きたい」と云う「くぼたたま」の作品は描写力と大胆な構図で昭和初期の日本家屋をテーマに描かれ、説得力がある。それは昭和一桁生れへの説得力、懐かしさであって、日本国外ではどう観られるのだろうか。アメリカのイラストレターのノーマン・ラクウェール(Nornan Rockwell,1894―1978)の作品は大平洋戦争中に敵国アメリカで描かれたものが多いが、「懐かしさや人の心情を呼び起こす」普遍性を持っている。しかし、これは我々の頭がアメリカかぶれに洗脳されているからだろうか。

「七字由宇」は「日常の生活の中に物語りを見つけて描く」と云い、小さい正方形の画面に「自分が見たことを自分の色と形の世界に置き換える」シリーズ制作を続けている。「真の芸術は生活から生まれる」と云う考えがある。更に進めて「芸術する事は生活する事」とも云う。そう成るには作品に大きさが必要かもしれない。

「表現とは」と問われ、「水のようです」と答える大内裕子、作品の前で話合いたい。多分、「水」は固体、液体、気体に変化し、あらゆる容器に入り形を変える。  「表現をこのように自由自在に保ちたい」との言語表現だろう。しかし、この作家の作品は如何に。

アーティストは言語表現が不得手なので視覚表現をすると云われる。しかし、視覚表現、視覚的創造性を育てる為には作品の言語表現、制作目的の文章化は欠く事が出来ない。更に英訳がそれを助けると思う。

「SUMIKO」が持つ簡素化されたデザインセンスと色感はより発展すべきだろう。「いいなぁと思ったものを、自分なりに表現しています」をより掘り下げる事がその発展に寄与すると信じる。「たかぎ さちこ」の作品「荒波旅行」の気取りと想像性に対してステイトメント「どんなモノにもとらわれない、力のあるものをつくります」の対比が色々な事を思い起こし面白い。

「オビカカズミ」は香川県在住、多分雪が降らな地方、作品「metoo」は雪だるま。「今のキモチ、感じたことを形象かする」と説明する。「岩井里菜」は「墨汁と割り箸を使って女性中心にイラストを描いています」と云う。女性作家の美人画、「女性が持つ滑らかなラインを描くのが好きです」と。

 

 

ギャラリーライター:中里斉

 

 

参加イラストレーター

大内裕子(Oouchi Yuko)
くぼたたま(Kubota Tama)
SUMIKO(Sumiko)
縁(Yuka)
Yukiss(Yukiss)
たかぎさちこ(Takagi Sachiko)
DINO(Dino)
岩井里菜(Iwai Rina)
七字由布(Shichiji Yu)
オビカカズミ(Obika Kazumi)