Japanese Artists Association of New York Special Exhibition
"Contemporary and Traditional: Two Aspects of jaa"
NYCoo画廊5月は「Contemporary and Traditional: Two Aspects of JAA」 (JAAの現代、伝統の二面)と題されるグル−プ展開催である。
JAA は 「Japanese Artists Association」の頭文字である。 70年代初めにニューヨーク在住日本人芸術家達によって始められ、30年以上の歴史を持ち、展覧会、ゼミ開催等の活動を続けている。会の目的に会員相互の協力、情報の交換による芸術的向上、地域社会との交流を通し世界平和への一助に貢献するなどを掲げている。会員数75人を擁し、NYへの新着者から、第二次世界大戦イタリア前線二世部隊442大隊元兵士迄を含んでいる。また、日本留学経験のある韓国人、日本伝統の規範で制作するアメリカ人なども参加している。この会員構成の多様性が会の活動エネルギーを生み出している。そして、会の運営は最も民主主義的に行われ会員であれば希望者は全て出品できるシスティムだと云われる。
このグル−プ展はパート1、2に分かれ、その1は現代的語彙表現による作品、その2を伝統的素材、手法による作品に分けられいる。抽象vs具象、アニメvs墨絵、コンセプチュアル/ミニマルvs和紙/顔彩、と作品も多様性に富み、この多様性が会の個性をなしている。一律の観点で作品評価するモダンズムは遠く過ぎ去り、ポストモダニズムの時代と云われて久しい今、この会の個性こそより肯定的に建設的なものとして受け止めるべきであろう。また、パート1、2共に公募された作品も含まれ、意欲的企画が窺える。
この二面の共通性は各々の方向性に於て未だ経験されない領域に向かう制作態度と、アメリカ社会の中での自己存在とその感性への問い詰めである。すなわち、作品は制作者の渡米の理由、その後の社会環境と生活についての証言そのものだろう。作品は視覚芸術としての制作と云う旅行誌ートラベローグであり、その旅程を辿ることによって観る者に限り無く色々な「面」を告げてくれる筈だ。
グル−プ展「Contemporary and Traditional: Two Aspects of JAA」 (JAAの現代、伝統の二面)に大きな期待が寄せられる。
ギャラリーライター:中里斉
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