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陶器 展覧会
斉藤 繁 |
Gallery NYCoo10月展は日本からの陶芸家、斉藤繁の個展である。今回が斉藤の最初のニューヨーク作品発表である。横須賀に窯を開き、陶作に勤しむ斉藤の作品の主題は、酒器、灯籠、地蔵、民家など、作家の生まれ育った生活環境からのインスピレーションに求め取材されている。そして、斉藤が自分の原風景ー生涯の最も初期の視覚的記憶ーに素直に従う事、誠実である事は観る者、器を使う者の心に触れ訴えるという信念を持って制作を続けている。この訴えるものを「和の美」と表現している。「和」は人との和であるうし、このフレーズは彼の持つ土俗的美意識とでも言えようか。来廊を促し、作品との対話を推めます。
この個展開催への動機つけは、自分の世界を地理的に、また精神的にも広げる事だが、具体的には、ニューヨークに自分の作品を持ち込み、異なる観者との対話を求め、また対象化して観る機会を自分自身に与え、制作にあたっての次の段階への模索であろう。アメリカ社会は異郷の地、故郷を異にする人々の集まる中で、4ー50年の時間回顧の日本的郷愁が彼の作品の中に如何に普遍性を持ち得るかが興味の焦点となるだろう。単純に知りたいのは、如何して地蔵を作ったのか?ニューヨークでそれがどう見れるか?だろう。
一方、1920年Bernard Leachと浜田庄司が英国St.Ives Pottery開設により日本の陶芸の西進の端緒となったが、1954年のLeachアメリカ講演旅行以後半世紀の昨今、陶芸はアメリカの大学教育の一般教養過程に取り入れられ盛況である。陶芸家人口は日本のそれに劣らないのではないかと思われる。この個展はその中での一つの交流どあり、その視点からの反響にも興味が持たれる。陶芸家の友人知人お誘いの上の御来廊をお待ちいたします。
尚、この個展をもって当画廊は同住所での展覧会開催を終了し、他の空間を求めて一時的休廊と聞きます。
一時的のは云えその中断を惜しまずには居られません。次回開催の報せを心待ちにして居ります。
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