4月の展覧会
井上壽美雄写真展
「 Silenzioso 静かな祈り」

2006年4月5日(水)- 22日(土)


レセプション:4月7日(金)5:00-7:30PM
開画廊時間 :火〜土 12:00-6:00PM

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井上壽美雄写真展「 Silenzioso 静かな祈り」

NYCoo画廊4月開催の井上壽美雄写真展「Silenzioso静かな祈り」を公示しここに御案内を致します。

井上壽美雄は写真歴30年、今回発表作品のシリーズを過去16年続けている。
このシリーズは特別に厚く漉かれた和紙に感光乳液を塗り印画紙を作り、ヨーロッパの教会の内と外、街などのイメージを写真現像し、限り無くモノクロームの陰影の部分を追っている。見えない所に何かを見ること、そこにイマジネーションが生まれるのをその制作の本質としている。この感光乳液には染料が混ぜてあるのだろうか、作品は淡褐色を帯びている。

ある時ヨーロッパのある場に遭遇する、光りは陰と影とをつくる、その気配、その空気にうたれカメラシャッターが切られる。フィルムに焼き付かれたイメージはコンパイルされ、スケッチブックの用をする。プリントする段階で、その時々の心象心理に従ってコンパイルされ多数のフイルムの中からあるイメージが選ばれ、数回のプリント作業の末に一枚が選ばれ、作品として決められる。一枚のフィルムに一点の作品が存在する。

作品にはシャターが切られた時とは関係なく制作された順に番号が振られる。何処の何のイメージかより、如何にこの光がつくる陰と影に魅せられるかが作品存在の根拠なので「無題」と付けられる。この陰影に魅了された表現への傾向は1990年代より2000年代に入ってより強くなるようだ。
井上はこの制作過程を写真技術を使って「絵画する」ことと云い、また、精神的経験を重ねることだとも云う。
ここにこの個展タイトルの由来がある。

和紙の上にヨーロッパのイメージがプリントされているこの作品を「和と洋の融合」と作者は云う。ここで何故ヨーロッパのイメージをと考える時、西洋文明への日本人の憧憬の眼、ロマンティズムなど種々なものが頭の中に去来する。
しかし、短時間の電話インタビューで感じたことは、この作家が生涯で初めて心的眼を開いた時、その眼(まなこ)に飛び込んだ最初のイメージがヨーロッパの教会であり、街であったのだろうと云うことだった。反対に、ヨーロッパの教、街の風景を見て初めて心的眼が開いたとも云えよう。 あの学園紛争時代に学生生活を送るが、中退後、デザイン界に入り写真で生活しながらヨーロッパに着いたのは26年前だった。
そして、そのヨーロッパのイメージが彼の心象風景、すなわち原風景となり、今回の個展に続くシリーズへと発展したのだった。

端的に云って井上壽美雄の写真作品はプリントされたイメージが焦点ではなく、写真過程を経た厚手の和紙が持つイメージが課題なのです。このイメージはカメラでは撮らえられない「存在するもの」としての認識に繋がり、作品を直接見る以外その真価を理解できるものではないでしょう。
是非とも御来廊下さるよう強くお薦め致します。


ギャラリーライター:中里 斉

Sumio Inoue
SILENZIOSO -Silent Prayer-

Exhibitions:

2006 SILENZIOSO: NYCoo Gallery (New York)
2006 Participation in DEAUVILLE FILM FESTIVAL ARTS
2005 Participation in FLORENCE BIENNALE 2005
Biennale Internazionale dell' Arte Contemporanea
2004 Silenziozo: Espace Culturel Bertin Poire´e (Paris)
2004 Silenziozo: Adirondack Community College (New York)
2003 harmony: The Art Engine (London)
Silenziozo: Cast Iron Gallery (New York)
2002 Silenziozo: Hotel Grand Pacific Gallery 21 (Tokyo)