亜細亜芸術と骨董展
- Let There Be Antique ! -
Curated by Ryo Iida, Asian Art
NY Coo Galleryの3月の展覧会は、Asian Art 飯田良一キューレーションによる「亜細亜芸術と骨董展」です。
会場には、「見て楽しい、飾って面白い」をテーマとした種種多様な骨董品を展示致します。
特に、俵屋宗達の「仏陀難堤図」、江戸前期の唐津皿は必見です。その他、江戸後期の伊万里、中期の仏像、18世紀後半の花見図屏風など、古来人々の生活に使われたそれらをご覧頂けます。
江戸時代に絵師として活躍した俵屋宗達。彼の出生、生涯には未詳な点が多いが、「俵屋」と呼ばれる屏風、提灯、色紙、短冊などに絵を描く工房を営んでいた。当時から彼の偉業は、皇室や上流階級に認められ、国宝「風神雷神屏風図」に代表される琳派の祖となった人物である。今回展示する「仏陀難堤図」は、彼の水墨画の作品の一つである。掛け軸に描かれる耳かきをする仙人は、彼が残した他作品の中からは類似する対象がなく、稀なオブジェクトとなっている。宗達独自の技法である「たらしこみ」により、墨の濃淡の表現がより神話的な要素を深めているように見える。
茶陶として揺るぎない評判を持つ唐津。安土桃山時代に陶器の技術が朝鮮半島より伝わって以来、茶道が大成するころと同じくして唐津焼は茶の湯の道具として名品と言われるようになる。素朴ななかに幽玄さがみられる意匠は、特にわび茶の心と通じる。江戸時代までこれらの評価は変わらず、今回展示する唐津皿も江戸前期に茶陶として利用されたものであろう。葦の上を鳥が飛び交う図は、土色の器肌と相成って侘しささえ感じさせる。
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飯田 良一
日本、朝鮮美術の専門家、美術商。
ハワイ大学社会学部を卒業後、東京日本橋 瀬津雅陶堂にて勤務。1993年〜2001年の間、日本、朝鮮美術部門の責任者としてサザビーズ ニューヨークに勤務し、年二回それぞれの部門で二つのオークションを手掛けた。Koichi Yanagi Oriental Fine Artに勤務の後、2004年に独立。Ryo Iida Asian Artとして陶器、磁器、絵画、仏教芸術品、漆器、屏風を主に扱い、水墨画展(2005年3月)、北大路魯山人展(2005年9月)、懐石と日本の磁器展(2006年9月)をScholten Japanese Artにて行う。
「Let There Be Antique!」と題された今回の展覧会、かつて日常に使われたであろうアンティークの品々を、今の時代でも身近に感じて頂ける機会となれば幸いです。
NY Coo Gallery |