今年度初回のセミナーは、SOHOにある老舗画廊 OK HARRISの契約作家である佐藤正明氏のスタジオにて、彼の今までの作品について、そして現在製作中の作品やそのアイディアから手法についてまでをお話いただきました。
セミナーは、工業ビルを改装しアーティスト専用アパートとして1970年にオープンしたWESTBETHの歴史、そして、その周辺の紹介から始まりました。WESTBETHの向かいにはポップアート界の寵児、リキテンシュタインのスタジオがあり、レオキャステリでのオープニング前の話など当時のエピソードを伺う。
スタジオでは、山梨出身である佐藤氏の故郷の話からその当時の作品、そしてロンドン時代、ニューヨークに渡ってからの作品、現在の作風にいたるまでの変遷をスライドやカタログの他、実際の作品を見ながらご解説いただきました。
佐藤氏のディティールへのこだわりは、一線を画すアーティストのそのものであり、妥協を許さないその姿勢が、確固たる作品の質、そして表現方法へと繋がっていくのだという事。そして、一つのスタイルに固執せず、新たな手法を探求する佐藤氏の作家精神を知る事は励起をうながされるとともに非常に勉強になるものでした。
その後にもうけられた自宅での懇談会では、持参したワインとスナックを楽しみながら、校友会のメンバーの個々の作品の紹介など、気がつけば窓の外の風景は夕暮れとなりセミナー終了の時間。今回は3時間という時間を感じさせない、非常に内容の濃いセミナーとなりました。
多摩美術大学校友会ニューヨーククラブ
松尾明子 |